死にたまふ母
みちのくの母のいのちを一目見ん一目みんとぞただにいそげる はるばると藥をもちて來しわれを目守りたまへりわれは子なれば 死に近き母に添寝のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる 死に近き母が額を撫りつつ涙ながれて居たりけるかな 我が母よ死にたまひゆく我が母よ我を生まし乳足(ちた)らひし母よ のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)にゐて足乳根の母は死にたまふなり いのちある人あつまりて我が母のいのち死行くを見たり死ゆくを ひとり来て?(かふこ)のへやに立ちたれば我が寂しさは極まりにけり わが母を焼かねばならぬ火を持てり天つ空には見るものもなし 星のゐる夜ぞらのもとに赤赤とははそはの母は燃えゆきにけり 灰のなかに母をひろへり朝日子ののぼるがなかに母をひろへり 火を守りてさ夜ふけぬれば弟は現身(うつしみ)のうた悲しくうたふ 昨年10月頃、突然母の命が長くないことを宣告されました。 母も知っていました。 以来・・・・・わたしの頭には常に斎藤茂吉の歌がクルクルと渦を巻いては消えていきました。 そうして・・それが現実のものとなった今、これらの歌ほど私の心情を表してくれるものはないように思います。 時代も、季節も違っても・・・・。 そこはかとなく流れる母を思う心情には変わりなく、これらの歌を読み返しては涙を流しています。 雪の降る中を嫁ぎ、雪の舞う中を旅立った母。 笑顔の母しか出てきません。 本当に仲良かった父と母。 お嬢さん育ちだったという母は、父に恋われて山奥に嫁ぎ・・・。 慣れない野良仕事に精を出し、私たちを育ててくれました。 私たち兄弟は、両親の期待に添うべく頑張ってきました。 父母は、私たちの誇りです。 これからも、残された父を敬い、母の分も大切にしていきたいと思います。 お世話になった方々に深く感謝です。 本当にありがとうございました。
by 1223sora
| 2010-01-09 09:42
| 家族
|
Comments(6)
Commented
by
にこにこ
at 2010-01-09 12:10
x
思わず涙してしまいました。
なんていい歌なのでしょうか。 あなたの心情を心から感じることができます。 大好きなお母さん、もうこの世におられないとおもうと・・・・悲しくて悲しくて・・涙のみ・・・ お葬式のあと落ち着かれた今こそ更に悲しみは募ることでしょう。 >本当に仲良かった父と母。 お嬢さん育ちだったという母は、父に恋われて山奥に嫁ぎ・・・。 慣れない野良仕事に精を出し、私たちを育ててくれました。 私もあなたと同じように91才と87歳の両親が隣町に2人ですんでいます。 まるで私のことのように思えてなりません。 母は少しもの忘れがあるのですがですが、まだ元気に2人で生活しています。 いつか別れが来るのですが、そのことを思うと悲しくてたまりません。 一日でも長く元気にと願い手助けに実家に日参しています。 年末にお兄様からお母さんのご病気のことをお聞きしていましたがあまりにも早くて驚いています。 又お父様のたまらない悲しいお気持ちもお察しいたします。どうぞお大切にしてあげてくださいませ。
0
Commented
by
そら
at 2010-01-09 14:40
x
涙で画面が見えません。
大切なお母様がおられなくなったんですね。 編みぐるみの優しい表情は、お母様のお人柄その物だった事と思います。 私も、高齢の父母が今は、元気で居てくれますが、いつ別れの日が来るのか・・・いつも心から離れません。 心情お察し申し上げます。 お父様が、お寂しいですね。 どうぞ大切にしてあげてください。 お体気をつけてくださいね。
Commented
by
1223sora at 2010-01-09 20:55
にこにこさん
そらさん 何時までもあると思うな親と金・・・・・・・どこかで聞いた言葉です。 現実になってみると、すごく重い言葉です。 でも私たちは幸せでした。 こんなにも長く親の元に居ることが出来たからです。 あとは、兄弟仲良く父に孝行を尽くします。 親戚縁者と心を通わせ、今まで通り元気に過ごそうと思います。 そうすれば天国の母も安心し、喜んでくれると思っています。 お優しいコメントありがとうございます。 これからもよろしくお願い致します。
Commented
by
kadononeko at 2010-01-10 12:26
お母様、ご愁傷様です。
とてもお辛いでしょうね。 私は両親との別れをまだ経験していないのですが、高齢になっているので、その時のことを考えると、苦しくなってしまいます。 1223soraさんも寒いのでお疲れが出ませんように ご自愛くださいね。。。
Commented
by
1223sora at 2010-01-10 21:21
kadononekoさん、こんばんは!!
コメントありがとうございます。 何時までもメソメソしていられません。 今日は久しぶりに家族で買い物に行ってきました。 今日は、知り合いの笑顔にもホッコリさせていただきました。 元気に、年末年始に出来なかったことをやろうと思っています。 心配かけるような内容のブログで申し訳なかったな・・・とちょっと反省です。 これに懲りずに、これからもお付き合いよろしくお願いします。
泣いてしまいました。
詩にもコメントにも胸をうたれました。 温和なご家族を思い浮かべ、やっぱり仲のいいご両親があってこその皆さんのお人柄なんだと思い至りました。 なかなかそのようにはなりませんが、お手本とさせていただきたいです。
|
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... お気に入りブログ
ミケの「畑へ行こう!」 シニアチックな水彩画家,... 家事も仕事もぼちぼちと sumomo 風に吹かれて さかえのファミリー その日・その日 三日坊主 風と花を紡いで 風雅房だより アメリカからニュージーランドへ 幸ちゃんの日々 山梨県北杜市明野町 ナナ... ぶっちゃんのブログ 元気ばばの青春日記 気持... 素敵ゆったり田舎暮らし<2> 最新のコメント
検索
外部リンク
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||